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立ち上がってなにやら店員へ合図している澤口。
女性の店員に可愛らしい黒と赤で統一された色のキャンディーブーケを持ってこさせると立ち上がって、両手で持ってうやうやしく貴子へ差し出した。
「今日は、ありがとう。特別なクリスマスイヴを僕と過ごしてくれて」
澤口の笑顔に貴子も立ち上がって受け取る。
「ありがとうは、私の方です。かわいいー。このキャンディーブーケ」
受け取って喜んでいる貴子の隣に座る席を移動する澤口。
「座って」
窓際のちょっとした物を置けるスペースにブーケを置くと澤口の笑顔がすぐ隣に来ていた。
テーブルは、広いから澤口が向かいの席から隣へ移るのは、問題ない行動だった。目隠し代わりのカーテンもあるので半個室化しているから他の客からも見えない。
―――でも、なんだか近すぎる。
不安そうな貴子の手を取り澤口は、貴子の手の甲へ口付けた。
「こういうの嫌?」
「嫌じゃないですけど、慣れてないから恥ずかしくて」
「僕だって慣れてないよ。キミだからだよ。自然と触れたくなるんだ」
貴子の長い黒髪に手をやり、そっと髪をすくい上げる澤口。すくい上げた髪にも貴子の顔を見つめながらキスをする。
―――妖艶すぎるわ。瞳が。
貴子は、顔が熱くなるのを感じていた。
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