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「クリスマスをこうして誰かと過ごすのは何年ぶりかなぁ」
遠い目をして澤口が呟く。
貴子の髪をすくって、耳を見つめた。輝く丸い形をしたブラックオニキスのピアス。
「今日のワンピースに良く似合ってる」
言いながら、貴子の耳たぶに触れる澤口。
「でも、このピアスも藤谷さんに似合うと思うんだ」
澤口は、ポケットから小さな四角いケースを出し貴子の手のひらにのせた。
ベルベットな触り心地のケースを開けてみる貴子。
「ぅわぁ、綺麗なピアス」
ケースの中には、ちいさなダイヤのピアスが入っていた。
「気に入った?」
「え、えぇ。でも、まだ知り合ったばかりなのに、こんな高価なものを」
「気にしないで。僕は案外金持ちなんだ。それに」
耳元に顔を寄せる澤口。
「僕は素敵な女性には、もっと素敵になってもらいたい」
いつの間にか握られていた貴子の手にぎゅっと力が込められた。
「あとでゆっくり二人だけの時につけて見せてくれる?」
澤口の妖艶な瞳にすっかり魅了されていた。
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