第二十五段階 イヴの契り

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「クリスマスをこうして誰かと過ごすのは何年ぶりかなぁ」 遠い目をして澤口が呟く。 貴子の髪をすくって、耳を見つめた。輝く丸い形をしたブラックオニキスのピアス。 「今日のワンピースに良く似合ってる」 言いながら、貴子の耳たぶに触れる澤口。 「でも、このピアスも藤谷さんに似合うと思うんだ」 澤口は、ポケットから小さな四角いケースを出し貴子の手のひらにのせた。 ベルベットな触り心地のケースを開けてみる貴子。 「ぅわぁ、綺麗なピアス」 ケースの中には、ちいさなダイヤのピアスが入っていた。 「気に入った?」 「え、えぇ。でも、まだ知り合ったばかりなのに、こんな高価なものを」 「気にしないで。僕は案外金持ちなんだ。それに」 耳元に顔を寄せる澤口。 「僕は素敵な女性には、もっと素敵になってもらいたい」 いつの間にか握られていた貴子の手にぎゅっと力が込められた。 「あとでゆっくり二人だけの時につけて見せてくれる?」 澤口の妖艶な瞳にすっかり魅了されていた。
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