プロローグ

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  女児は一の鳥居の上部についている扁額(へんがく)を見上げ、指差した。 「でも、あそこには “軽風(けいふう)神社” って書いてあるよ。  まだ “軽い” って漢字、学校では習ってないけど、下の駐車場のベンチにそう書いてあるから知ってるよ」 「また、あのベンチか…」 「あ…、ごめんなさい。  話、逸れちゃった?  わかった、ここはカイン神社なのね!  えーっと、で、その神様のお許しって……、  どう(もら)えばいいの? 」 少年は再び女児の頭に手を伸ばすと、優しく撫でた。 「まずは確認だけど、  茉莉花は陽翔(はると)のことが好き? 」 「うんっ! 大好き! 」 間髪入れない返事に、少年は息をのんだ。 「……そっか…。  いい? 茉莉花?  陽翔のお嫁さんになりたいなら、陽翔のことを好きだって気持ちを、誰にも知られてはいけないよ。  (まわ)(まわ)って神様の耳に入ったら大変なことになる」 「え! そうなの!?  だから鳥居の外まで来たんだ!  さっき境内で伊月くんに口(ふさ)いでもらってよかったよ」 女児の解釈が違うのか、少年は苦笑いを浮かべた。
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