高校3年生

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  「いや、え?  まぁ、そりゃそうだけど、…イデッ」 佐藤くんの発言に動揺したのか、絡んでいた男子が廊下の隅の柱に足をぶつけた。 イテテ…とよろけたとき、後ろにいた私に気づいたようだった。 「ぅわっ、ジェンヌ…。  聞いちゃった?  …聞いちゃったよね?  俺のこと小さいやつだと思った? 」 そのまま無視して通り過ぎても良かったけど、大切な友だちである佐藤くんに、噂程度で因縁を付けた彼に一言いいたくなった。 「あぁ、小さいやつだと思った。  君のライバル、私だったらどうする?  気にするとこ違うんじゃないか? 」 クスクス笑っている佐藤くんの前を通って、自分の教室に向かった。   二者面談中、ボンヤリしていたのか、 「指定校か…」 「おい、遠野?  指定校推薦にするのか? 」 「へ? 」 というやり取りを2回繰り返してしまった。 佐藤くんのお父さんは病死だったと昔聞いたはずだ。 最近、栗本さんですら、それを知っているとわかったのに。 「生きてる? 」 「おまえなら行ける!  これは昨年度の例だが、遠野ならこのあたりを狙える」 「へ? 」 こんなやり取りも2回ほど。
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