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「いや、え?
まぁ、そりゃそうだけど、…イデッ」
佐藤くんの発言に動揺したのか、絡んでいた男子が廊下の隅の柱に足をぶつけた。
イテテ…とよろけたとき、後ろにいた私に気づいたようだった。
「ぅわっ、ジェンヌ…。
聞いちゃった?
…聞いちゃったよね?
俺のこと小さいやつだと思った? 」
そのまま無視して通り過ぎても良かったけど、大切な友だちである佐藤くんに、噂程度で因縁を付けた彼に一言いいたくなった。
「あぁ、小さいやつだと思った。
君のライバル、私だったらどうする?
気にするとこ違うんじゃないか? 」
クスクス笑っている佐藤くんの前を通って、自分の教室に向かった。
二者面談中、ボンヤリしていたのか、
「指定校か…」
「おい、遠野?
指定校推薦にするのか? 」
「へ? 」
というやり取りを2回繰り返してしまった。
佐藤くんのお父さんは病死だったと昔聞いたはずだ。
最近、栗本さんですら、それを知っているとわかったのに。
「生きてる? 」
「おまえなら行ける!
これは昨年度の例だが、遠野ならこのあたりを狙える」
「へ? 」
こんなやり取りも2回ほど。
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