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階段を駆け上がり、いつもより1本早い電車に乗車した。
私のすぐ後ろに佐藤くんがいることはわかっていた。
でも、閉まったドアを振り返ったとき、佐藤くんだけでなく、陽翔くんもいたことに、私は心底驚いた。
「な…
違う車両に乗るんじゃないのか? 」
「そんな時間なかったでしょ。
それに、もう、そんなことしない」
「庄司、おまえ、何か変なモノでも食った? 」
「陽……しょ、庄司くんっ」
「いいよ、“陽翔くん” で。
その呼ばれ方、好きだから。
なぁに? 莉花ちゃんっ」
「う゛…
前、言った “高3の夏” って、今なのか? 」
「違うよ。
あれは大祭を想定してた」
「大祭…。
大祭が過ぎたら、私を遠ざけない…。
うーん… 」
「何?!
近隣愛って期限付きだったの?? 」
そう言いながら佐藤くんがハッとした顔をした。
「俺、近隣愛の正体、今、わかったよ。
庄司、神社の息子のクセに迷信、信じ…」
「シッ!
電車で言うな。
それに全部、佐藤のせいだろ」
「…それは随分な言い掛かりで」
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