15人が本棚に入れています
本棚に追加
゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚
陽翔くんと埼崎駅前のカラオケボックスに来てしまった。
家のガレージより狭い空間に二人。
まずは、と、陽翔くんがドリンクバーに飲み物を取りに行ったので、一人にはなれたけど、緊張していた。
「佐藤くん、早く来てくれないかな」
心の声が思い切り出てしまったのと同時に
「はい、烏龍茶」
と言いながら、陽翔くんが私の隣に腰を下ろした。
「なんで、隣!? 」
「歌わなくても、ここ結構うるさいから、話しやすいように。
あのね、俺はこれから莉花ちゃんに、黒歴史…、すごく恥ずかしい話をするんだ。
だから、堂々と大きな声ってわけにいかないんだよ」
陽翔くんがバツの悪そうな顔をしたので、隣に座るのを拒絶するのはやめにした。
「わかった。
じゃあ始めよう。
あ、佐藤くんがいなくていいのか? 」
「そのうち、絶対来る。
アイツが莉花ちゃんと俺を二人きりになんかしない」
「そんなものかな」
「そんなものです。
じゃあ始めるよ。
って、お茶飲んでるけど寝ないでね」
「寝ないよ! 」
「はは、ごめん。
中学の卒業式の前日、“近隣愛” で莉花ちゃんを遠ざけるのは、高3の夏までって、言ったよね。
それで、それは、大祭までって意味だと、今朝、電車で言った」
「うん」
最初のコメントを投稿しよう!