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「莉花ちゃんは、軽風神社の大祭の迷信、知ってる? 」
「迷信?
お父さんに前、聞いたことがある。
風の舞を踊った男子の悩みごとを神様が軽風で飛ばすとか」
「それもそうなんだけど、もう一つ。
片思いしてることが周囲にバレると、その思いも消えてなくなるって」
「あっ、そうだ。
確かにお父さん、そんなことも言ってた! 」
「俺はその迷信を鵜呑みにして、
子供の頃から学校で、ずっと莉花ちゃんを避けてきたんだよ。
自分が莉花ちゃんのことが好きだと友だちにバレたら、17歳の大祭を境に、莉花ちゃんへの思いが消えてしまう。
そんなのは御免だから、友だちの前では接点を持たなかった。
ね? これ、かなり恥ずかしいでしょ? 」
「は…?
え…?
……私を避けたのは、」
「莉花ちゃんのこと、好きな気持ちを失いたくなかったから。
莉花ちゃん、聞いて。
俺は莉花ちゃんのことが好きなんだ。
君が引越してきたときから、ずっと」
「……」
今、なんて……?
脳がダウンロードに時間を要しているような気がした。
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