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「それを、さも、莉花ちゃんをイジメから守るのが理由みたいに言って…。
そういう嘘って、かえって傷付けるよね。
イジメの候補者だって言ったのと同じだ。
ホント、ごめん。
訂正しておくと、仮に俺が子どもの頃から莉花ちゃんのそばにいたって、莉花ちゃんがイジメられるようなことはなかったからね。
逆に俺が…。
莉花ちゃんは男子だけでなく、女子の人気も凄かったから。
中3の頃なんて、莉花ちゃんの好きな人を教えて欲しいとか、渡してほしい物があるとか、近所だからって理由でよく頼まれて。断ったけどね。
佐藤もよく頼まれてたけど、アイツ、あしらうのが上手いから。
あ! あと、栗本は俺のことが好きなわけじゃないから」
何から返事をすれば…。
とりあえず、自分の認識と一致しているところから話した。
「それは、気づいてた。
栗本さんは伊月くんのことが好きだ…よね」
処理能力が追い付かず、うまく口が回らない。
「あ、わかってたんだ。
栗本に初めて会った日のこと覚えてる?
莉花ちゃん、俺と栗本を二人にして、帰っちゃって。
聖地のベンチに、莉花ちゃん以外の子と座るとかマジで無理だった上に、あの日には、もう
『遠野さんのこと、好きなんでしょ? 』
って栗本に言われたんだよ。
俺、迷信を鵜呑みにしてたから、認めれば、栗本に知られたことになって、大祭で思いが奪われる…って考えちゃったんだよね。
だから、莉花ちゃんのことを『好きじゃない』って否定して、その日から栗本がしつこく接してくるのを受け入れた。
ベンチも使えなくなっちゃって、ホント何やってんだか」
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