高校3年生

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  「……そ、う。  でも、なぜ栗本さんは陽翔くんにベタベタするんだろう?  伊月くんに、煙たがられるのに」 「それは栗本が色々こじらせてるから、かな。  莉花ちゃんに気づかれても困るから、説明はそこまでにしておく。  莉花ちゃんが鈍感で本当に良かった」 「え? 鈍感?  …し、失礼だよ。  前に佐藤くんにも言われたことがあるけど」 「フッ。  話を続けていい? 」 「へ? は、はい」 「必死に隠してたけど、俺の気持ちは栗本だけじゃなく、昔から伊月と佐藤にバレてた。  迷信の通りなら、大祭あと、気持ちが残らないって、随分前から確定してたんだよ。  それなら、片思いじゃなく、両思いになっておけばいいって、迷信を逆手に取ったやり方だって考えられた。  でも、俺には両思いになる自信なんて、まるでなかったうえに、“露呈している片思い” が大祭あとにも消えないパターンを7年前にこの目で見ちゃったんだよね。  そうするともう、片思いのままでいいやってヘタレが加速するのと、でもやっぱり大祭は怖いって思いの間でグラグラ揺れて。  このままじゃいけないと思って、近隣愛を大祭までって期限をつけることで、自分なりに覚悟を決めたつもりなんだ。  莉花ちゃんへの気持ちを奪われないまま大祭を乗り切ったら、振られてもいい、告白しよう、って。  そう思ったの中3の終わりだから、先延ばしって言われればそれまでだけど」 「じゃあ、なんで、今日…」
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