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「遠野、大丈夫か!
あれ?! 」
佐藤くんが、
陽翔くんにのしかかるように、顔を近付けている私を見た。
「…庄司こそ大丈夫か? 」
「ぅわぁ!
ごめんなさい、ごめんなさいっ」
私は慌てて陽翔くんから離れた。
「いいんだよっ、
莉花ちゃんは謝らないで!
佐藤、俺が引っ張ったんだ! 」
「そうなのか?
でもまさか、
もう、こんなシーン見るとは…。
…の、飲み物取ってくる」
佐藤くんが出て行き、ドアが閉じられた。
「私、引っ張られてないよっ、
私が、私が、…! 」
「莉花ちゃんは何もしてないからね。
俺がしたの。
本当に気にしないで、忘れて」
「忘れる!?
そんなの無理だよ、どうしよう!
すごいドキドキしてるよ! 」
鼓動をおさえようと、胸に手を置き、深呼吸を繰り返した。
ダメだ。おさまらない。
グラスを勢いよくとって、烏龍茶をチューッと吸い上げた。
睡魔が襲うほどの平静を求めたのだけど、これも効かなかった。
「莉花ちゃん……ヤバい」
「は? 何が」
私もかなり顔が熱い気がしたけど、陽翔くんも負けず劣らず赤かった。
「落ち着けー、俺。
莉花ちゃん、すげー、色っぽかった…。
今、俺にドキドキしてるんだよね? 」
「そういうことになるね」
「あの、まさかだけど、
莉花ちゃん、誰かとキスしたことなんか、ないよね? 」
そのとき佐藤くんがコーラを持って戻って来た。
「あるわけない!
伊月くんの唇が頬に当たったことはあるけど」
佐藤くんがコーラをテーブルに落とした。
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