高校3年生

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  「ぅわー、ごめん! 」 「わわ、はいっ、お手拭き」 「俺のも使って」 佐藤くんがテーブルを拭きながら、陽翔くんに言った。 「伊月さんが遠野にしたキス…の話だけどさ、  今、お前ら、それ以上のことヤりそうだったし、  伊月さんにとっちゃ黒歴史かもしれないし、  だから、触れない方がいいんじゃね?  あの人、澄ましてるように見えて、一杯一杯なのかもしれないし」 「何、余裕ぶったこと言ってんだよ。  コーラ落としたクセに。  俺は許せないよ。  俺はもう莉花ちゃんに告白したんだ。  莉花ちゃんのことが好きな男として、嫉妬心は表に出す」 「いや、石段で片足落ちただけで、」 「告白?  遠野に告白したのか!?  遠野、あのさっきの状態が返事なのか? 」 「は? 返事? 」 「それは違う!  言っただけで、まだ返事とか、そこまで話進んでないからっ」 好きだと言われた。 嬉しかった。 でも、陽翔くんの頬にキスしそうになったのは返事というより、衝動的な…。 ん? 返事って、言葉の受領の確認? 確かに聞きました、と? いや、ハンコやサインじゃないんだから。 返事が自分の気持ちを現すためにあるのだとしたら、 「…ありがとうございます」 これが一番適切な気がした。 佐藤くんがお手拭きを握ったまま、 「ブホッ! さすが遠野」 と、おかしな笑い方をした。 「莉花ちゃん……。  …佐藤さぁ、よく笑えるよな? ヘタレの俺に告白なんかできっこないって舐めてたくせに。  でも、頬チューは積極的? 」 「積極的!? 」 驚いて声をあげた私と、 ニヤつき気味の陽翔くんを交互に見たあとで、 佐藤くんは大きなため息をついた。
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