15人が本棚に入れています
本棚に追加
「さっきの態勢は置いておいて、
客観的に見て、庄司が暴走し過ぎだな。
遠野の近くにいるのが久しぶりだからって。
まぁ、そうだな…。
今日は俺らの関係を遠野に話そう。
庄司もそこから、迷信が迷信と気付いたんだろ?
伊月さんの話はそれからだ。
まずは迷信の補足説明から、な」
「ん? は、はい」
それから、佐藤くんは代わりのコーラを取りに行き、数個のお手拭きと共に持って帰って来ると、
ゆっくりと話し始めた。
「露呈しちゃった片思いの、その気持ちが消えるってヤツ。
あれはね、昔、風の舞を踊ったヤツが、大祭のあと、ただ心変わりしただけなのに、それが誇張されて語り継がれたんだ」
「ん? それだけ…? 」
「そう。
でも、片思いの迷信は迷信に過ぎないけど、そのとき心に引っ掛かっていることを、軽風に乗せて飛ばしてくれるってのは本当だよ」
「…え? 」
「些細なものだけど、結果的にその人にとって物事がいい方向に進むよう導いてくれる。
庄司んちに、記録があるよ。
舞を踊った男子本人、家族や近しい人に聞いて、それぞれの変化をまとめている」
最初のコメントを投稿しよう!