高校3年生

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  「ただ、それは神様の仕業じゃないんだ」 「え? じゃ、誰の? 」 「宮司の庄司幸人。  伊月さんと庄司の親父ね。  俺の親父でもある」 「…え? 」 「俺ね、庄司の親父とうちの母ちゃんの間に生まれた子どもなんだよ。  ここ、半分、兄弟」 佐藤くんが、佐藤くんと陽翔くんを交互に指差した。 「……!  いや、だって、  佐藤くんのお父さんは佐藤くんが産まれる前に亡くなってて」 「それ、うちの兄ちゃんの父親ね。  庄司の親父と、うちの母ちゃん、昔、付き合ってたんだよ。  でも、二人は別れて、  庄司の親父は庄司のお母さんと結婚した。  庄司家にはうちの母ちゃんは相応しくなかったんだって。  いつの時代の話かっつーの。知ったこっちゃないけどな。  で、うちの母ちゃんもその直後結婚した。  庄司の親父と、うちの母ちゃんが、別れたり、別の人とそれぞれ結婚したとき、お互いどう思い合っていたのか、とか、俺らは知らない。  美談にされてもたまらないから。  さっき、神様じゃなくて庄司幸人の仕業だって言っただろ?  軽風神社の宮司は代々、その能力が継承されるんだってさ。  そして、庄司家に伊月さんが産まれた。  ところが、6歳くらいまで様子を見てたけど、その能力の気配がなかったらしい。  焦った庄司の親父さんは、自分の奥さんじゃなく、うちの母ちゃんに種を植え付けたんだよ」
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