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「遠野、どうした? 」
あ。表情が沈んでたか。
「えっと、佐藤くんは次の大祭で、また幸人さんのそばで研鑽を積むのか? 」
「あー、遠野の興味はそっち? 」
佐藤くんが楽しそうにクスクス笑った。
そういうわけではないのだけど…。
「莉花ちゃん、
父さんは7年前に伊月のことで力を使いすぎて、もう無理なんだよ」
「無理? え? 」
「だから、佐藤が、」
「俺が一人立ちすんの」
「それが決まったのは一昨日じゃないよ。
佐藤は中学に上がった頃には、次はおまえの力でって父さんに言われたらしいから。
俺が、のほほんと迷信に囚われている間、佐藤は責任ある立場として鍛錬に励んでたんだ。
だから、佐藤が次の宮司になる。
元々、力のある者が継承していく神社だからね」
「え…」
伊月くんでも、陽翔くんでもなく、外の子の佐藤くんが宮司になる。
それは、無関係の子どもである私にも、問題が山積みであることが容易に想像できた。
またそれが顔に出ていたらしく、佐藤くんに、
「そんな心配顔すんな」
と言われた。
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