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「俺をもう一人の弟だって知った伊月さんは、7年前から俺に優しくしてくれてたんだ。
こっちに帰省したときは、遠野んちだけじゃなく、俺んちにも顔出してたし。
それは話したか」
「あ!
うん、佐藤くんの家で」
「佐藤の家? 」
「あのね、
俺と遠野は友だちとしての長い歴史があんの。
色々あんだよ。
あれ? 高校受験のとき、伊月さんに勉強見てもらった話はしたっけ? 」
「受験勉強?
あ! 当時、伊月くんから聞いたよ!
佐藤くんとは言ってなかったけど、冬休みに勉強を教えてる子がいるって。佐藤くんだったんだ」
「俺も知ってたけどね。
もう一人の弟には熱心だなーって思ってた」
「陽翔くんには教える必要がないって言ってたよ」
「ふーん。あ、そう」
「お? ジェラシー?
大丈夫。
おまえから伊月さんはとらないよ」
「はは…、
それで、陽翔くんが全てを聞かされたのは
一昨日の、佐藤くんの誕生日会で、だったってこと? 」
「うん。
…貰っても嬉しくないだろ、弟なんてプレゼント」
「いや嬉しかったよ。
昔からキラキラ可愛い庄司を見てたから、おまえが弟なんて、鼻が高い」
「…可愛い、言うな」
「結構、似てんのにな。
何が違うんだろ。ハハ」
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