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「庄司も遠野もお疲れ、
じゃーなー」
「佐藤くん、バイバイ」
「また明日な」
小学校前で佐藤くんと別れ、
迷信も近隣愛も、邪魔なものは全てなくなり、さっそく陽翔くんと並んで帰れるわけだけど、
上り坂は無口になってしまうので、帰り道に実際話ができるのは、
雑木林の中で自転車を押し上げているときに限られるのだなと、そんなことに気づいた。
つづら折りの坂道に入り、
「朝はいいけど、帰りがキツイね。
しかも暑い」
陽翔くんがそんな弱音を吐きながら、自転車から降りた。
私も
「そうだね」
と同調しながら、自転車から降りた。
日が長い時期とはいえ、放課後2時間カラオケボックスにいて、電車、自転車と乗り継ぎここまで来たのだから、そこは完全に夜の山で、
数メートル間隔の電灯の明かりを頼りに、陽翔くんと私は自転車を押し上げながら進んだ。
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