高校3年生

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  「だから、せめて大学は好きなところに行って、好きなことをしろって、父さん、佐藤に言い出したんだよね。  国立じゃなく、私大でもいいって。学費は出すから」 「それでセンター利用の私大に変更したんだ。  でも指定校推薦を選択肢に入れないのはなんでだろう? 」 「指定校推薦は高校の代表として、大学でもいい成績を維持するって約束で入学するから、ダメでしょ」 「指定校の条件は知ってるよ。  でも、なんでダメ?  佐藤くん、優秀なのに」 「え?  佐藤の夢は、太一くんみたいに箱根に出ることなんじゃないの? 」 「エ! その夢ってまだ変わってなかったのか!? 」 箱根駅伝で実績のある私大は、高校駅伝などでいい成績を納めた選手をスポーツ推薦というより、一本釣りで獲得している。 私の兄の太一がそうだったように。 そして兄の学生時代の様子を見てわかったことがあった。 選手としてのレベルを維持する練習は、授業を受けに行ってたら無理なのだ。 『テスト期間以外はキャンパスに行かない』 と、大学生のとき、兄が言っていた。 一緒に卒業できなかった同級生もいた。 「まぁ、確かに、うちの高校を選んだ時点で無理があったよね。  一般受験組が箱根に出てる大学もあるにはあるけど」 「佐藤くん、どこまで本気なんだろう」 「アイツ、掴み所がないからな…」
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