高校3年生

45/137
前へ
/336ページ
次へ
  お風呂に入りながら考えを整理した。 陽翔くんは11年超、私への気持ちを友人たちに隠していた。 私は同じ期間、自分をも誤魔化していた。 なぜ誤魔化していたのか。 陽翔くんを好きだと認めると、自分がどこかに消えてしまい、陽翔くんと二度と会えなくなるような、そんな感覚がしたからだ。 誰かの腕にキツく拘束され、そのままどこかに連れ去られていくような、そんな怖さ。 伊月くんの腕の中の感触と似ていた。 「独りよがりな発想だ」 でも、私が陽翔くんの思いに応えられない理由を、伊月くんは知ってるような気がした。 「小2のとき何があった? 」 次に伊月くんの車に乗ったら、聞いてみよう。 それを済まさないことには、 陽翔くんの言う流儀を完結できないと思った。
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加