高校3年生

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  「これから毎日」 「えーと…。そう」 「雨の日もだよ」 「エッ! そうなの!?  それって、駅で栗本さんを下ろして、私は学校までってこと? 」 「そう思うんだ? 」 「う、…ん」 「雨の日は茉莉(まつり)を櫻樹まで送るんだ。  だから、(まあ)は乗らないか、乗っても奥谷駅まで」 「そ!……う…。  わかった ───」 危なかった。 “そんな! ” と口走るところだった。 厚意に甘え過ぎていて、感覚がおかしくなっていた。 「─── 駅まで自転車で行くか、  お父さんかお母さんに乗せてもらうかするから、大丈夫だよ」 「(まあ)は僕の車にもう乗らないって選択肢を選ぶんだ」 「え?  いや、だって…」 「僕はおかしくなりそうなのに」 伊月くんはそう言うと、車を急発進させ、坂道を下って行った。 カーブでタイヤの悲鳴が聞こえた。 「珍しく荒っぽいな」 その声に振り返ると陽翔くんが立っていた。
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