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「茉莉花がプリント届けに来てくれたの?
太一じゃなくて? 」
「うん。
お兄ちゃん、学校から帰ってきたら、すぐまた出掛けちゃったの。ごめんって言ってたよ。
それより伊月くん、外に出て大丈夫なの?
風邪引いて、学校休んでるんでしょ? 」
「あぁ、もうよくなったから明日から行くつもりだよ。
でも、嬉しいな。
茉莉花がわざわざ来てくれて…」
「そう?
はい、どうぞ。
中学校のお手紙」
「…うん」
恥ずかしそうに微笑んだ少年が、女児から茶封筒を受け取った。
「茉莉花、ありがとう。
太一にもよろしく言っておいて。
またね」
少年が女児の頭を一撫でし、拝殿の方に引き返そうとした。
すると、
「あっ、ちょっとまって、まだ……」
少年の背中に慌てて話し掛けた女児が、全身に力を込め、体を震わせた。
そして、空気を裂くような声の大きさで、こう言った。
「はーるとくんっ!!
遊びましょーーっ!!! 」
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