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参道では、振り返った少年の目が大きく見開かれていた。
「茉莉花は随分大きな声が出せるんだね。
……本当は陽翔会いたさに、ここに、来た? 」
「え?!
えーっと…、…うん! 」
「うん!って…
さっきまで、駐車場のベンチでくっついてたのに? 」
「え? くっつく?
座ってお話してただけだよ。
でも、神社に帰っちゃうと陽翔くん、絶対降りて来ないし、
わたし…、わたし……」
血相を変えた少年が慌てて女児に近づき、その口を手で塞いだ。
「茉莉花、もう何も言うなっ、
嫌な予感しか、しないよっ」
「お、お、ぉお、大きくなったら、
は、はー、陽翔くんの
お嫁さんになるぅ……ぅ」
女児が、少年の指の隙間からそう呻いた。
でも、その声は、
今度は少年の耳に届いただけだった。
「…こっち来てっ! 」
少年は女児の手を勢いよく引くと、
二の鳥居をくぐり抜け、石段を一気に駆け下り、一の鳥居の下まで走り出た。
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