プロローグ

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  「伊月(いつき)くんは陽翔(はると)くんのお兄ちゃんでしょ?  だから、許してもらわないと、って思って」 「へぇ……そう……」 少年は息を整えながら何か思案したあと、登山道にあるベンチに女児を座らせ、その隣に腰をおろした。 そして、女児の頭を撫でながら、話し出した。 「茉莉花、正解だよ。  確かに陽翔(はると)のお嫁さんになるには、  僕と、もう一人の許しが必要だ」 「もう一人?  あ、伊月(いつき)くんと陽翔(はると)くんのお父さんだね」 「ううん、違うんだ。  陽翔(はると)のお嫁さんになるには、  “花隠(かいん)神社” の神様のお許しが必要なんだよ」 「カイン神社? 」 「ここの神社のこと。  みんな、“軽風(けいふう)神社” とか “ジャスミン神社” って呼ぶけど、  本当の名前は、花を隠すって書いて、  “花隠(かいん)神社” だから」
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