奥隈町奇譚

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  西奥隈町の暗闇に、坤を司る砦が聳えている。 古来からそこは坤守家が結界を張り巡らせ守護してきた要衝。 それが ───── 圭の揺りかご。 「私の愛し子は夢を見ているだろうか」 「目に見えぬ新月が、公の代わりに坤守どのを包んでおりましょう」 「其方、年の割に詩人よの」 「鼻垂れに御座りますれば」 浮かび上がる細長い灯りを見つめながら、ジークは笑った。
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