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この大男、奥隈宗親、正しくは奥隈艮守甚左衛門宗親は、四百年前にジークを日本に呼び寄せたその人だった。
鬼も永い刻を渡るとされているが、不老不死ではない。長い者で三百年から五百年、個体に依っては短命であったり、人間と同じく『寿命』がある種族だ。が、ジークのように気を吸い取り、また体に戻す触媒役を通す事でかなりの延命が出来る。ちょうど血液ドーピングと同じ仕組みだ。
四百年前、この国の触媒役であった鬼凝師の一族が死に絶えてしまった事で、ジークはモルダヴィアから城ごと招かれて来た。以来、宗親とは守り守られながら生きている、親友のような仲だった。
「今年も鬼凝りの儀、無事に終えられまして何よりです」
「無事ではないっ終わりたくもなかったっ」
「ですがあの箱庭の中だけでは坤守どのはまともに生きられませぬ。まして術を施さねば、寿命は残り精々六十年。年も重ねて公よりず──っと老けまするぞ」
「……………」
「永の刻を二人睦まじく生きたいならば堪えるほか御座いますまい」
「わかっている…………」
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