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確かにこの事件は最近になって報道された。ストーカー男が被害女性を殺害し剥製にすると言う猟奇的極まりないな犯行で話題となった。さらに拘置所で男が自殺をする幕切れとなってさらに話題を呼んだ。
しかしこれは一般的な報道であって報道がされていない部分がある。男は女性の剥製を自宅バルコニーに展示したと言うことだった。彼女の美を世に披露するためだと言う。特に電車からは見ることが出来たのだ。本当に吐き気がする。一瞬しか見えないから違和感の判別のしようがない。
そう。確かに電車からは見ることが出来るのだが少しおかし点がある。事件の報道の2ヶ月前からすでに飾られていた言う。雨の日は犯人も家の中にしまっていたのだろう。
しかし佐藤さんは歩いているのを見たという。すでに死んでいるのだ。動くなら犯人の手でしか動かせられない。二人羽織りでもやっていたのか。流石にそれは気づくはず。なら嘘をついた?勘違い?だろうか。
嘘をついたとは思えない。そもそも関係者以外知らない事実だしそんな嘘をつけるだろうか。勘違いも考えにくい。赤いコーデは目立つ。何回も歩く姿を見たと言っている。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
わからない。考えてもしかたない。
「プルルルルルルルルル」
発射音が鳴り響いた。
乗客をかわして歩き出したところで我にかえった。今赤い帽子を見なかったか?
ドアが閉まり電車が走り出す。
私は外から必死で佐藤さんを探した。
一瞬赤い女と並んで座る佐藤さんが見えたのだ。佐藤さんは惚けたような顔で虚空を見ていた。
女の顔は見えなかった。
その後も佐藤さんを探すことはできなかった。どこにいるのかもわからない。
あの日の出来事は夢か現か幻か私には今も答えが出ない。
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