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私が翔を絶対に甲子園に連れていくって約束したんだ。
あの日のこと、覚えてるかな。
『ねぇ翔、タイムリーってなぁに?』
『あータイムリーってのは塁走者が本塁に生還させる安打の事だよ。てかさ七織…野球の事分かんねぇのによくマネジャーになろうと思ったよなー』
『野球の事なんて分かんないよー。でもさ、こんな弱小野球部は私みたいな幸運の女神さまが居なきゃ勝ち進めないんだから。私が甲子園に連れてったげる!』
あの日の事は覚えてる。
俺達は七織に今日まで助けられてきた。
自分の事を幸運の女神とか言ってたけどホントに幸運の女神なんじゃ無いかと思えてくる。
自身の力でここまで伸し上がって来たと思えないのはやっぱりアイツの存在があったからだ。
野球の事を知らないのに、野球の事を知ろうと必死なアイツをみてたら可笑しくてさ。
予選決勝戦。
不動の王者との熱戦。九回裏。3-2 満塁。2アウト
「ここじゃ終われないよな!」
「ここじゃ終われないよね!」
ピッチャーが大きく振りかぶる。
放たれる豪速球は翔の振り下ろしたバットを掠め通過した。
「え」
終わった。
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