ねこのきもち。

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今の状況が理解できなくて僕は小さく首を傾げた。 特別棟の3階、一番端にあるあまり使われていないこの会議室は僕のお気に入りの場所だ。一人でぼぅっと過ごしたり、宿題や試験勉強をすることもある。たまに一緒になるコワモテのお兄さん達とお昼寝をしたりオヤツを食べたりトランプをするのも楽しい。 けど、今の状況はいったいなんなのだ?と僕はさらに首を傾げる。 僕は今、教室のほぼ真ん中でパイプ椅子に座らされている。隣にはクラスメイトの佐島君が立っていて「大丈夫だよ。」と僕の肩を撫で優しく微笑んでいる。 確か風紀委員だったと思う。正義感が強く優しい子だ。 そして、僕と佐島君をぐるりと囲んでいるのはガタイの良い先輩方。その先輩方達の足元にはさっきまで一緒に美味しいね。なかなか買えないんだぞ。と購買のシュークリームを食べていたコワモテのお兄さん達が拘束され身動きが取れずにいる。 何でだろう…? 僕はまたまた首を傾げた。 お兄さん達に声をかけ立ち上がろうとすると佐島君に「大丈夫だから。」と肩を抑えられてしまってこの場から動くことすら出来ない。 せっかく僕がみんなの為に買ってきたシュークリームもどこかに消えてしまった。まだ一口しか食べていなかったけど美味しかったのに、人数分買うのも大変だったのに。みんなで食べたくて購買のおばちゃんにお願いして二ヶ月待ってやっと食べているとこだったのに。まだ、食べ途中だったのに。みんな嬉しそうだったのに。 そう思うと涙が出てきそうで、我慢するように鼻をすすった。
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