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「きっと、寂しい毎日だったんだろう。両祖父母とはいえ落ち着かない生活は子供にとって良いとは言えない。そして、仕事の忙しい父親との生活は友達を作る暇もなかっただろう。そんなか突然現れた新しく母親となる女性。君は逃げるようにこの学園に転入してきた。」
委員長は僕の話をしてたと思ったけど、途中から違う気がしてきた。
確かに週替わりで僕はお父さんのおじいちゃんおばあちゃん家とお母さんのおじいちゃんおばあちゃん家を行ったり来たりしていたけど、その家はとても近かった。4人は冗談だか本気だかわからないけど、よく大きな家を建ててみんなで住もうかなんて笑って話していたし、誰かの誕生日とかクリスマスや正月にはみんなで楽しく過ごしていたので不満どころかとても楽しくて、学校の友達と遊ぶという事がなかった。
新しくお母さんになる人もとても優しくて可愛い人だった。
お父さんが先に好きになて口説き落としたと言っていたけど、二人で夕ご飯を作っていた時に「私の一目ぼれだったのよ。」コッソリ教えてくれた。そして「こんな可愛い息子がいたなんて、私は本当にラッキーだわ。」って抱きしめてくれた。
「そんな、生活をしてきた君がこの学園になじむのは難しかったと思う。同室の者がいればまた違ったかもしれないが、不幸にも君は一人で部屋を使うことになってしまった。そして、閉鎖的なこの学園で友達と呼べる者を作れず孤立してしまったのだな。」
僕は意味が分からず首を傾げる。
「そして、君はあいつらに目をつけられてしまったんだな…いつも一人でいたのは都合が良かっただろう。暴力被害の報告は受けていないが、無理矢理買い物に行かされたりはしていただろう?あとは、されていないとは信じたいが性的な……。」
言葉を濁した委員長を前に僕はますます、首を傾げると佐島君が「それ以上傾いたら危ないよ。」と僕の肩を支えた。
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