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「大樹!!!!!」
加東の名を呼びながら教室に入ってきたのは最近見慣れた、よく寮の部屋に来るようになった生徒会のみなさんだった。
それを確認した僕は佐島君の止める声も聞かず、立ち上がり走った。そして、飛びついた。
「トモちゃん!」
受け止めてくれたトモちゃんは僕をぎゅっと抱きしめ「遅くなってごめん。」と頭を撫でてくれる。そして、その場に腰をおろし膝の上に僕を向かい合わせになるように乗せた。
「大丈夫。みんな保健室で治療してもらってるよ。大きな怪我もない。」
安心した僕は我慢していた涙がボロボロと落ちてしまった。トモちゃんは温かい大きな手で僕の涙を拭きながら「また、一緒に遊べるよ。」と言ってくれた。
でも、僕は怪我したお兄さん達に何も出来なかった。いっぱいの先輩と佐島君が教室に入ってきて僕は佐島君に手で目を塞がれた。色んな音とか声がして怖くて目を塞がれているのにさらに目を瞑り手で耳を塞いでしまった。佐島君の手が外れた時にはもうお兄さん達は拘束されていた。
「僕、嫌われたよ。きっと…何も出来なかったもん。」
「みんな、たまの事心配してた。だから、大丈夫だよ。一緒に保健室にお見舞いに行こう。」
返事の代わりにトモちゃんの首にぎゅっと抱き着いた。
「僕ね、何も出来なかった。お兄さん達とシュークリーム食べてただけなんだ。美味しかったし、喜んでくれてた。今度はみんなでワッフル食べたいね。とかクリームソーダー飲みたいね。とか言ってね。楽しかったんだ…。」
トモちゃんは僕の話をうんうんと頷きながら聞いてくれたから安心して話し続けた。加東は相変わらずなんか叫んでたし、生徒会の誰かが「友埜ってあんな喋れたんだ…。」とか言ってたけど僕には関係なかった。
「ババ抜きのリベンジもしたいし、今度ウノ教えてくれるって言ってたんだ…。夏休みには花火しようって…。」
俺は?と言うトモちゃんに「毎日お泊り会でしょ?」と言うとにこりと笑ってキスをくれた。
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