神野桜という女

2/28
前へ
/28ページ
次へ
桜はちらりと目の前の男を見た。 確実に自分よりも2、3歳は若い。体格は身長が少し低いがすらりとした筋肉質な身体、服装はTシャツにジーンズでシンプル。靴も上品で綺麗なものを履いている。焼けた肌を見るとアクティブでアウトドアな印象。それとも肉体労働系の仕事だろうか。髪は短髪で黒髪。顔は小顔でニキビがない。同い年か年下からモテそうな感じ。悪くない。だが、腕時計とハンドバックがなぜか安物っぽいのが気になる。 、、、靴は置いといて、兄弟の借り物かなにかだろうか。可愛らしい。 右側から視線を感じ、桜はそちらをちらりとみた。少し離れたところで、テーブルにもたれる高身長の男がにこりとこちらをみて微笑み、薄茶色の飲み物が入ったグラスを口に運んだ。 淡い青のスーツにとんがり靴、中のシャツは襟の縁に黒い線が入り、形がいい。長めの髪は茶髪で左右に華奢な女子が2名、彼を囲っていた。後ろ姿がちらりと見え、スーツのシワがその男の飾りを主張していた。 また視線を目の前の男に戻す。頬が紅潮し、ほんわかとしている。あれに比べれば柴犬のようで可愛らしい。 だが、、、。 「ごめんなさい、少し遠いの。それと今から友だちとアイスを食べに行くの。」 桜はそう言ってにこりと微笑んだ。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加