奥さんの想い。

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混乱する頭の中 しかし沙織さんは、クスクスと笑う。 あぁ、間近で見たらなんて 綺麗な人なのだろうか。 笑い方も上品で、確かに茉莉華ちゃんのママに 雰囲気が似ている。 「ここは、現世とあの世の狭間よ。 あなたは、事故に遭って ここに迷い込んでしまったのね」 「えっ?現世とあの世の狭間? じゃあ、私死んでしまったのですか!?」 どうしよう。まだ死にたくない。 「フフッ…大丈夫よ。 まだあなたは、死んでなんかいないわ。 それを止めるために私が来たの。 あなたに死んでほしくないから」 沙織さんは、そう言ってきた。 「沙織さんが、私を止めるために…!?」 「えぇ、そうよ。会えて嬉しいわ。 あなたには、これからも 睦月や真夜を支えてほしいもの」 その言葉にハッとする。 そうだ…私。 沙織さんの旦那さんを好きになってしまった。 睦月君の母親のように振る舞い 家族のように入り込んでいる。 「あの……すみません。私……」 必死に謝ろうとした。 しかし沙織さんは、自分の指を私の口に 当てて止められる。
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