魔女の処刑台

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 あたしが一番最初に死んだのは…あたしがまだ正しく魔女ではなかった時のこと。  生まれた時から、あたしは多分普通の人間ではなかったんだと思うわ。人と、明らかに思考が違っていたし、両親らしい両親がいないことを淋しいと思うこともなく、不思議に感じることもなかったものだから。多分“そういうもの”だって当たり前のように理解していたんだと思う。あたしは人間じゃないから、人間と同じような親がいないのは当然なんだって本能は知っていたのよね。  そもそも、あたしはいつの間にかそこにいて、物心ついた時には人間って存在そのものがダイキライだったから――オナジでないことに心底安堵したって気持ちの方が強かった気がするわ。  見た目は人間によく似ているけれど、その本質はまるで違う。あたしは、人間の少女にしか見えない姿形の中に、人間とは全く別物の獣を飼った存在だったのよ。人間達を同じ種族だと思ったことはないし、こんな下等な存在がどうして支配者ヅラをしてこの世界に君臨しているのかどうしても理解できなかったわ。  連中には、奴隷か家畜がお似合いだってずーっと思ってた。  二本の足で立って歩くより、四つん這いになって地面を這いずっている方がずっとお似合いなのにどうしてそうしないんだろうって普通に疑問で仕方なかったのよ。実際、あたしはその土地にいる人間の誰よりも頭が良く、力が強く、魔法という名の神秘を自在に操ることができたから。彼らが同列以上であることに、どうしても我慢がならなかったのよね。  あたしは、生まれた時から理解していた気がする。自分は生まれついての“魔女”だと。全ての人間をひき肉に変えて、同胞の、選ばれた者だけの世界を作るために自分は産まれたのだと、そう信じてやまなかったのよね。その考えは今でも変わっていないわ。ただ、昔よりは人間という存在に、利用価値を感じているというそれだけのことなのよ。
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