出奔

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 「今辞めたら、きっと後悔する」  ぼくには分かりません。ぼくは「今」、すでに「後悔」しているのです。このような人生を歩んできたことに。自分で自分の可能性を縮め、みんなと同じ、「しがないサラリーマン」になることを選んでしまったことに。もし、何も決断しないまま何十年と過ぎて、いよいよ死ぬとなった時、そこにあるのは、「ああ、良い人生だった」という安堵ではない。決してない。そこにあるのは、海よりも深い後悔でしょう。  だからぼくは、「今」、「今こそ」、決断しなければならないのです。今までなんとなくやってきたことを辞めて、全く違う、新しいことに挑戦しなければならないのです。未知の環境に飛び込まなければならないのです。  もしそれで惨めに失敗して、人知れず野垂れ死ぬことがあっても、そこに、「やっぱり挑戦などしなければ良かった」という後悔はきっとない。それよりも、何もしなかったことで、「やっぱり挑戦しておけば・・・」と後悔することのほうが、ぼくには怖い。とても怖い。この恐怖を余すところなくあなた方に伝えられれば、きっと納得してくれると思うのですが・・・どだい、それは無理な話なのでしょうね。
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