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「名は何というのだ?」
「榊じゃ」
団子を食うと言うので、茶屋に来ておる。
よく食う童のようで、三皿目じゃ。
「一人で何をしておるのだ?
道中を見ておったことは知っておる。
親などは?」
蓬が聞くと、童... 榊は「死した」と答えた。
「罠に掛かったのじゃ」
「童、我等が狐と わかっておるのか?」
「榊じゃ。童ではない。もう七つである故。
わかっておる。匂う故。
見ようと思えば、元の姿も見える」
「犬ではあるまいな?」と、俺に聞く。
「匂うであろう?」と答えるよりない。
「七つ? いつから人化けしておる?
何故、童に化ける?」
「もう 二年になるの。まだ耳か尾が出る故
尾の時は、このように着物の中じゃ。
耳の時は 髪を結う。何故 童なのかはわからぬ」
榊は着物をたくしあげた。
「やめよ。しまうが良い」
羊歯がため息をつき
蓬が手拭いを榊の膝に掛けた。
「一人で山におるのか?」
「山は降りた。縄張りは取られた故。
この辺りで暮らしておる。
怖いことがないし、食べ物も豊富にある」
榊は 鼠狩りもするが、スリなどをして
その日暮らしをしておるものらしい。
「どこで寝ておるのだ?」
「ついて参れ」
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