2/7
前へ
/345ページ
次へ
里の橋を渡り、山頂まで歩いておると 「人には効くものを」などと言うた。 「人?」 思わず立ち止まった。 「ふむ。幾度か精を受けた」 「... うむ そうか 」 地に膝を着きたくある。下手すると両手もじゃ。 ならば、何故 俺等で練習するものか。 練習途中で実際に人にいく とは、思うておらぬであった。 いや、術の会得だけであろうと 軽く思うておった。 たぶん、蓬も羊歯もじゃ。 「簡単じゃ。最中も幻惑をかけておるので 跨いで 一瞬で済むしのう。浅黄も... 」 「俺は色香は せぬ! もう お前の練習にも付き合わぬ!」 思いの(ほか)、大きな声が出た。 何故 実際に 色香などしようか? 跨ぐ など... イライラと、山頂へ歩む。 「浅黄」 「何じゃ!」 「怒っておろうか?」 「怒っておらぬ!」 お前と寝た男を殺したくあるだけじゃ! 「む...  確かに 色香は、(ズル)い手ではあろう」 山頂前で、はたと立ち止まる。 「何と?」 「修行の鍛練ではなく、楽に宝珠を磨く故」 そのような意味と? そんなことは、元より わかっておろう? 俺は妬いておるのだ。お前とは ならぬ故。 幼少の頃の顔などが浮かぶ故。 汚せぬ。お前が愛した男なら良い。 しょうもない者は ならぬが。 いっそ そういった者が現れぬものかと 時折 考える程じゃ。 それを、簡単に色香などで...
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

766人が本棚に入れています
本棚に追加