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榊が、人里より客を連れて来た。 先に話は聞いておったが、人じゃ。男が 二人。 泰河と朋樹という 祓い屋なるものであるらしい。 人等は、玄翁とは違う洋装じゃ。 なにか格好良くある... 五山の大神様の元へ使いに出る際 俺は、自動車などに乗った。操縦は泰河じゃ。 人里の変わる様子は、山から見て知ってはおったのだ。灯りも 瞬く間に増え 山の道路も黒くなり、自動車も通る故。 だが、このように変わっておったとは... 夜であるのに、眼が痛い程の灯りじゃ。 珈琲などを貰い、缶ジュースを買い 洋装などに挑戦し 大神様も共に ゲーセンやカラオケなる場所へ行き、 雰囲気の良いクラブなどで知らぬ酒を飲み また違う店で、珈琲を飲んだ。 何ということであろうか... 人里は、このように刺激のある場になっていようとは。大変に 大変に楽しくある... そのように、この時は 俺はまだ 浮かれておった。 朋樹と共に、四の山に 式鬼なるものを仕掛けて回る時も 有事であるのに、どこか楽しくあった。 藤が、榊の首を落とすまでは。 俺に刀を向け、藤に走った泰河は 以前、賊を屠った俺そのものであったのに 俺は泰河を、止められぬであった。 榊 と、そればかりで 護りたくあったのに。 菊を 榊を 俺は、ならぬのだ。ならぬ。 ひどく意味のない なんのために 生きていようか
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