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朋樹が 泰河を止め 玄翁は 泰河に『よい』と言うた。 許されると いうこと 俺は、藤の腹を上に裂いた。 白蘭は、藤を母と慕っておった。 幾度も藤に殺められながらも 藤 お前を助けろ と お前に必要なのは、自己の許しじゃ。 俺は それを知っておる。 もう許すが良い 藤。 お前自身を。俺が屠る故。終わろう。 始末は俺が着ける。誰の手も(けが)させぬ。 玄翁が白い首を噛み砕く。呪いを許容して。 俺は、口に薙刀を突き立てた。 終わったはずであるのに 俺は、いやに ぼんやりとしておった。 しっかりせねばと思いながらも 朝 何故 泰河に 『護れなかった』などと 言うたものか。 言葉にしても、仕方の無きことを。 罪の 告白であったのだろうか? (いばら)に白い花。からたちの。 それを見る泰河の隣に、長い髪の後ろ姿を見た時 俺は、あの遊郭の前におった。 あれは 菊であるのか 榊であるのか 護れなんだ と言うた 俺の頬を摘まみ 慣れぬブーツで駆けて行く。 神仏は おるようじゃ。 このように何かに感謝が出来るものとは いつか、俺のなかにも と 眼を閉じ、手を合わせる。
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