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******** 大方のことは語り尽くしたのう。 俺は、慶空に『人里にて息抜きせよ』と言われ 玄翁に『学ぶが良い』と、人里に出されるようになった。 今は、桃太殿が構えた “(ヨロズ)相談所” などの所員でもあり 報酬に、幾らか 人里の銭も貰うておる。 冬には榊に、ストールなどを買うた。 首の紅き線が目立った故。 泰河が 里にスマホを置き 『触るうちに慣れる』と、俺に言う。 『浅黄』と、朋樹から文字が入り 『飯に行くから、展望台に来い』などと 誘われたりするのだ。嬉しくある。 『ツレだからな』と、二人は言う。 共に遊ぶ仲であると。榊抜きでもじゃ。 クリスマスには、教会にも行き 伴天連のジェイドとも会うた。 一の山の向こうの集落にて、哀しき異形を 放たれよ、安らかなれ と 打ち据えし時は あまり話せぬであったが、ルカとも。 世界とは、広きものである。 繋がりを持って拡がって行くのだ。 うむ。よう語ったものよ。 これ程 自分のことを語ったのは これで、二度目であろう。 俺には、異国の神の友がおる故。 その者のことを語って、(しま)いにしようと思うが 良いであろうか? うむ。まずくとも勝手に語る。 どうも 厚かましゅうなってきたのう... 慣れるとこれじゃ。狐は甘やかすと ならぬのう。 多少なついてしもうたようじゃ。
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