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藤や白尾などの後 榊が『伴天連など!』と、怒り狂い それでも泰河等が戻りし時まで、楠の広場周辺を うろうろとして待っておった後くらいであったろう。 『野の者等の魂が戻ったのじゃ!』と 榊は泣き、玄翁も『感無量であった』と 赤い顔をしておった。 うむ。どうやら良い伴天連のようじゃ。 泰河や朋樹と共に仕事をしたという。 俺も良い気分となり、山道を自転車で走ろうかと 自転車を担いで、山頂から楠の広場へ出ると 「おい」などと 無遠慮に呼び止める声があった。 聞いたことのない声であり 声は上の方、樹上からしたようじゃ。 見上げると、夕に近くても陽が眩しくある。 「誰じゃ? 出て来るが良い」と 肩から自転車を降ろして言うと ぞろりと巨大な黒蛇が降りて来た。 これは、榊が話しておった 異国の蛇神なる者であろうか? 黒蛇は地に降りると、人の姿になった。 薄茶の短き髪、長い角と牙。赤き眼。 両耳にはピアスとやらを並べて付け 襟のシャツに黒きベスト、黒きボトムス。 背が俺より高くある。
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