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「お前と 友になりたい と思っている訳だ」 赤き眼を見返す。俺と? 「何故?」 「理由か... 言葉で表すのは難しい。 表すなら、お前の名だが。それは後で見せる。 それから俺は、どうやら榊に惚れている」 すでに見ておった赤き眼を、まだ見る。 何を? 言葉が返せぬ... 「だが、お前の女であるなら 手は出さん。 他からも護る」 「榊は 俺の女では... 」 「何? ... そうだな。言われてみれば 一緒にいるとこを見た訳ではない。 だが お前を見た時に、榊の男だろう と思った。 羨ましいが、それと 友になりたいのは また別の話だ。 榊の男だろうが、そうでなかろうが 俺は お前と話して、友になりたい と思う。 どうだ?」 何を答えれば良いものか? ボティスは葡萄酒も飲まず、俺の返事を待っておる。 「それは、会話などを重ねてからの話ではないのか?」と 答えると 「そうだ。だから最初から “話がしたい” と 何度も言っている。友になりたいからだ」と ようやくわかったか、という顔で言うた。
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