7/10
前へ
/345ページ
次へ
珈琲を飲みながら、ふらふらと自転車を漕ぐ。 榊に出会うた頃の話などをしながら。 「オイラン? なんだそれは?」 また途中に寄った店で、フライドチキンなどを買い、河原の目立たぬ場所で、二人で食す。 スマホで花魁と検索し、画像などを見せた。 「これは憧れて仕方ないだろう。花の女だ。 成る程、番人の格好は これか」 「うむ、大変に美しくあった」 チキンに眉をしかめながら 「俺は “冷水(ひやみず)” とやらに興味があるが。 白玉というのが、何か この国らしい」と 割いた身を口に入れる。 もう(なが)く共におる気がするのは、何故であろう? 「のう。ボティス」 「なんだ? チキンの胸は 何故こう食いにくい? 見ろ。指が油まみれだ。どこかで洗う」 「榊を 頼めぬであろうか?」 「何を? 花魁の着物か? 俺は着物に詳しくない」 また胸部分を指に摘まんで、眉をしかめておるが 俺が言うておる意味に気付いたらしく 「お前は何を言っている?」と チキンの身を 雑に骨から剥がした。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

764人が本棚に入れています
本棚に追加