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「俺は 会ったばかりの者だ。しかも悪魔だ。 珈琲やチキンくらいで血迷うな。ならんぞ」 「惚れておる と言うたではないか。 俺は、兄のような気持ちであるのだ。 わがままではあるが、俺が認める者にしかならぬ。 お前が良い」 「兄なら、知らぬ者に簡単に渡すな。 相手を信じるのは、お前達の良いところだ。 だが、信じるに足るものがなければいかん。 一度 話したくらいで見極めは出来ん。 だいたい、お前も惚れているだろ? そういう顔で話している。 俺は、お前と友になるために 正直に言ったまでだ。 どうこうなろうとしていない」 「俺は、幼少より知っておるのだ。 どうこうなど なり切れぬ。共におるだけで良い。 お前とまとまっても、俺もおる故」 「当たり前だろう。誰と まとまってもだ」 「何故 どうこうなろうとせぬ?」 「ロクに話してもないだろ。 榊は俺を 何とも思っとらん。 俺が勝手に好ましく思っているだけだ。食え」 俺も胸を取るが、小骨が多くある。 うむ、指はすぐに油まみれじゃ。 「ならば、他の者に 持っていかれて良い と言うか?」 「言わん。だが焦らん。だいたい何の話だ? 俺は幾千も生きているというのに」 「齢に逃げるか」 「うるせぇ。もう胸は買わん」 これは照れておるものか? 面白くある。 「俺も 何故、お前に まかせとうなったものか。 見るからにガサツであるのに」 「どう見ても繊細だろ? チキンの油にイラつく程だ」 「お前と話しておると、楽しくある」 「そうだろ? これから ずっとこれだ」 「それは敵わぬ。騒がしくある」 「諦めろ。俺は友になるからな」
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