黒助様

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なんだって、おいらがこんな目に合わなきゃいけねえんだ。ちくしょうめが! 道行く人も遠巻きにこちらを見るだけで、誰も助けようとはしてくれませんでした。巳之助は、昨日よりも一層体を引きずるようにしてね。昨日よりも一層悪くなった心持ちで、昨日行った原っぱへと向かいました。 丘とはいえど、斜面ですからな。なんで身体が痛いのにそんなことをするのか、巳之助も頭の片隅ではちーっと思ってはいたんですけれども。どちらかというと怒りでのぼせ上がっておりましたから、なんとしてでも登るんだ、と半ば意地でございましたんでしょうな。 原っぱでは、昨日のように棒きれを拾い上げて、草をめった斬りにいたしました。親の仇かと思うほどの力で、時折ちぎれた草が目の前にパッと飛び上がります。 どいつもこいつもおっ死んじまえばいいんだ! 痛くて悔しくて顔は涙と鼻水でいっぱいになっておりました。それでも、昨日見た黒いものが横切るのを見逃しはしませんで。 目ん玉くり抜かれて苦しんでしまえ! 先程の大男への呪詛を唱えながら、黒いものをめった叩きにいたしました。 そいつは、何か黒くて小さい玉を落として身体を引きずりながら逃げていきました。     
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