第二章 指名手配犯の騎士

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 塔の下部にはがっしりとした石垣があり、その上に塔よりふたまわりほど規模の大きい建物が積み重なっている。その中心にあたる部分では巨大な映像が流れていた。彼女がそれを指を指す。映っているのは今まさに隣にいる少女と、塔の姫と紹介された女性が少女に倒れこむ様子。「姫」の心臓部には剣が突き刺さっており、少女は血まみれだ。場面は変わり、少女の顔と指名手配犯の文字。 「これは……君か?」恐る恐る彼女の顔を窺い、訊ねる。否定してくれ、という僕の願望をあっけなく壊すように彼女は頷いた。 「そうだ。私はティファニー・ドール。北東の塔の結界師、十六夜姫を殺害した容疑をかけられている指名手配犯だ」
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