第二章 指名手配犯の騎士

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「指名手配犯……!? 君は、その、結界師の姫を殺したのか!?」 「私は殺してなどいない。信じられないと思うだろうがな」  見晴らしの良い場所ではこちらの姿も丸見えになってしまうからと、二人は再び竹藪の中へと戻った。歩きながら、そして先ほどまで眠っていた場所まで戻り腰を下ろしてからも、ティファニーへの質問攻めは続いた。彼女は半ば呆れながらも、少ない言葉で答えてくれた。  いわく、彼女は幼少から北東の塔の結界師・十六夜姫の騎士を務めていたが、一昨日、塔のよりにもよって姫の駐在する最上階に侵入者が現れた。その侵入者を捕らえるためにと派遣された帝国軍の手によって姫は殺されたという。当日ティファニーは非番であり、彼女と交代の近衛兵が姫の護衛を務めていた。ティファニーは塔の敷地内にある自宅で過ごしていたそうだ。騒ぎを聞き姫の元へと駆けつけたまさにその瞬間、帝国軍により姫が心臓に刃を突き立てられたのだった。     
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