第二章 指名手配犯の騎士

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 腹を満たしたところでようやく自分のやらなければならないことを思い出す。 「そうだ、僕が寝てる間に女の子を見かけなかった? 僕の双子の妹で、一緒に塔から逃げる途中ではぐれたみたいで……。背は君より少し低いくらいかな。赤い髪で紺色の服を着ていたはずなんだけど」  ティファニーと話すことで次々飛び込んでくる新しい情報にすっかり気圧されていたが、僕はミシェルと合流しなければならないのだ。丸一日寝込んでしまったのだ、すぐにでも行動を起こすに越したことはない。僕は空間転移魔法を使って北の塔から逃げた際、妹とはぐれたことをティファニーに説明した。 「昨日も今朝も食料を調達しに少しこの辺りを歩いたが、見ていないな」  彼女の言葉に落胆する。僕は無事にミシェルと合流できるのだろうか。そもそもこの近辺に転移できたのかどうかすら、今となっては怪しい。ティファニーが続ける。 「しかしこの竹林は広い。私が昨日行かなかった場所にいるかもしれないし、山の麓にいるかもしれない。城下町にいる可能性もある」 「そうか」     
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