第二章 指名手配犯の騎士

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 そうするとまずはこの竹林を探し、見つからなければ山の麓まで徐々に降りるように捜索、それでも見つからなければ城下町を探してみよう。この辺りの地理に詳しいティファニーには是非とも協力を要請したいところだが、そう簡単に手伝ってくれるだろうか。 「君はこれからどうするつもりだい?」  まずは今後について聞いてみる。ティファニーは絶望に暗く翳った瞳で言う。   「どうもするつもりはない。お前一人信じてくれても、私が指名手配犯ということには変わりはない。ここが見つかるのも時間の問題だ。見つかれば私はしかるべき処罰を受けるだろう。お前が助けなくとも、遅かれ早かれ朽ちる命だ」 「そんな……君はそれでいいのか? それじゃ姫様を殺した奴の思う壺なんじゃないのか?」  もしも彼女が本当に無実の罪を着せられただけだったのだとしたら、ことに任せて刑を科されるのはあんまりではないか。僕の言葉を聞き終えないうちに、彼女は勢いよく僕の胸倉を掴む。 「綺麗事を抜かすな。姫様を守れなかったのは私の罪だ。死をもってしても償いきれない……」 「君こそ、都合の良いことを言って逃げるなよ!」     
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