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帝国軍、内部犯……ややこしくなってきた。内部犯なのだとしたら、ティファニーを処刑したとて今後も同じような事件が再発する危険性が高い。
「そのほかに結界を破る方法はない? 魔法で突き破るとか」
「塔周りの結界を維持するのは仮にも姫様に次ぐ結界師だ。そうやすやすと破られたりなどしまい。あの結界を破壊することは私にもできない。私よりも強い者か、あるいは結界の破壊に特化した魔法使いか……しかしそんな人間は私は聞いたことがないな」
朝食を食べ終え、この日は塔とその周辺の様子を探ることにした。ミシェルを探しながら山を降り、街ではティファニーに迷彩魔法をかけて歩いた。迷彩魔法は僕が10歳の時に覚えた魔法だ。周囲の景色と同化し、肉眼ではその姿を完全に見えなくすることができる。
覚えたての頃はよくこの魔法を使ってミシェルや母さんを驚かせて遊んでいたものだ。母さんは最初から魔力で薄々気付いていたようだが、やはり声がした方を振り返っても誰もいなかったり、かと思えば突然隣に姿を現したりするとかなり驚き慌てていた。一方ミシェルは全く気付かなかった。背後から肩に手を乗せたり、背中を人差し指でなぞったりするだけで大きな悲鳴をあげて取り乱したため、非常に驚かし甲斐があったのだった。
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