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外壁には外と敷地を結ぶ門があったが、多数の市民が押し寄せ、門の両端に立つ二人の門番に詰め寄っている。十六夜姫殺害についての抗議だろう。
「指名手配犯はまだ見つからないのか!?」
「姫の直属の護衛が犯人とはどういうことだ!」
「塔の人事はどうなっている!」
「早く犯人を見つけて死刑にしてちょうだい!」
叫び声に近い抗議が遠巻きに聞こえてくる。ティファニーにはあまり聞かせたくない内容だった。裏通りに戻ろう、とティファニーに告げ、僕らは再び人気のない道へ入った。
(門番は市民の対応に追われているみたいだ。あの混乱に乗じて、ちょっと侵入してみようと思う)
(ちょっと、などと軽い気持ちで侵入できると思っているのか?)
(ちょっと試すだけという意味さ。三賢人に会うにしても、塔に入れないと始まらない。僕の魔法でそれができるのかひとまず確認するだけだよ)
(しかし迷彩魔法では姿は隠せても実体は隠せない。異分子として結界に感知され、たちまち排除されるだろう。そして最悪捕まるか、逃げ切れてもお前の情報が塔側に侵入者として登録される)
(それは怖いなぁ。じゃぁ、透過魔法ではどうだろう?)
(透過魔法? 実体すらも消してしまうという迷彩魔法の上位互換か。だがそれもすぐに結界に感知され……)
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