第二章 指名手配犯の騎士

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 早速透過魔法を使い、敷地内への侵入を試みた。ティファニーには気づかれなかったとはいえ、結界に察知されてしまう可能性はある。そのため、侵入は慎重に行う必要があった。  まず門から入るのではなく、門とは少し離れた箇所の外壁を通り抜ける。透過魔法では壁をすり抜ける事もできるのだ。  壁と結界の通り抜けはうまくいったようだ。門番を確認すると、相変わらず押し寄せる市民たちをあしらっていた。1分、2分、同じ場所に留まる。一向に気付かれる気配はない。時折塔の関係者であろう通行人が通りすがるが、僕の存在には気付いていないようだった。5分を過ぎたところで僕は塔に向かって歩き出す。  相変わらず塔の根元部分ではティファニーの映像とともに姫が維持していた結界に関する説明が流れていた。それによれば、姫の没後50年ほどはこのまま結界は維持されるということだった。姫が生前、自分が不慮の死を遂げた際の対策として、そのような魔法を施していたのだろう。     
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